特許とドラマの話
このような仕事をしていると、テレビドラマに出てくる「特許」という言葉につい反応してしまいます。
少し前の『下町ロケット』はまさに特許がキーワードになったお話でしたが、他にも特許を題材としたドラマ(および原作小説)はたくさんあります。
もちろんドラマでは脚色があり、万人にわかりやすくするため実際とは異なる部分もあります。
しかしながら、特許制度の以下のような特徴が、ドラマの中で主人公を大ピンチに陥れたり、また逆に形勢逆転の突破口となっているようです。
◇ 先願主義
日本の特許制度では、最も先に出願をした人だけが、その発明の特許を受けることができます。
→・自社の発明をライバル社に盗まれ、先に出願されていた。
・大会社の強引な買収は、小さな会社の特許を手に入れるのが真の目的だった。
◇ 特許権の侵害
他者の特許権を侵害した場合には、使用を差し止められるだけでなく、懲役や罰金に処されます。
→・自社製品が他社の特許に抵触していて、販売を差し止められた。
・ライバル社からの攻撃を、自社特許の侵害を訴えることによって解決する。
◇ 特許の譲渡・ライセンス契約
特許権は財産なので、他者に譲渡したり貸すことができます。
また特許権は維持費が必要であり、新しい技術が登場すればその価値は下がってしまうため、売ったり貸したりすることは経営戦略のひとつです。
→・自社特許を他社に貸し、ライセンス料で新規事業の資金を調達。
◇ 死蔵特許
死蔵特許とは、有効な特許でありながらその価値が活かされておらず、発明者や権利者がその存在を忘れているような特許です。
他者の死蔵特許を気づかずに使用しているのが、何らかのきっかけで発見されると、大きな問題になります。
→・特許権があることを知らずに使っていて、ある日突然、権利者から訴えられた!
・他社から高額で買取の申し入れがあり、経営のピンチを脱出!
このように、特許制度は使い方によって「諸刃の剣」となるため、ドラマを盛り上げる要素としてよく使われているのではないでしょうか。みなさまの業務におかれましても、特許の管理や侵害には細心の注意を払い、また戦略として上手にご活用いただけるとよいと思います。
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ご参考までに、(検索で調べたものですが)ストーリーに特許や知的財産がかかわってくるドラマの一部を。やはり池井戸潤さん原作が多いですね。
『まんぷく』NHK
『太陽の罠』NHK
『ムチャブリ』日本テレビ系
『それってパクリじゃないですか?』日本テレビ系
『アトムの童』TBSテレビ系
『クロサギ(2022)』TBSテレビ系
『下町ロケット』TBSテレビ系
『半沢直樹』TBSテレビ系
『陸王』TBSテレビ系
『ユニコーンに乗って』TBSテレビ系
『スーツ』フジテレビ系
『七人の秘書 スペシャル』テレビ朝日系
『スパイラル~町工場の奇跡~』テレビ東京系
『釣りバカ日誌』テレビ東京系